TOYOでは、EPCで培った技術力やエンジニアリング会社としての総合力をもとに、新規事業に挑んでいます。TOYOで新規事業に携わる醍醐味について、新技術の開発を主導する次世代技術開拓部長の富永、同部でプログラムリーダーを務める岡島、営業担当として交渉や顧客開拓を行う南の3名に話を聞きました。
エンジニアリング会社の基盤を生かせる、脱炭素関連の新規事業
執行役員 エンジニアリング・技術統括本部長代行 兼
次世代技術開拓部長/富永 賢一
KENICHI
TOMINAGA

- ―なぜ今、TOYOは新規事業に挑戦しているのですか。
- 今や、世界中のエネルギープラントやEPC事業は成熟期を迎え、エンジニアリング会社間の競争も熾烈になっています。こうした環境下でさらなる企業成長を実現するためには、EPC以外の新しいビジネスを展開していく必要があり、新規事業に挑戦しています。
また、当社は「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」というミッションを掲げており、世界的に取り組みが加速しているカーボンニュートラルの実現に向けて技術開発を一層強化しています。私が部長を務める次世代技術開拓部も、TOYOや産業界の次世代を支える技術を開拓していくことを目的に創設されました。 - ―カーボンニュートラルというキーワードが出ましたが、新規事業のなかでも脱炭素は注力領域の一つと位置付けられています。取り組みの詳細を教えてください。
- 石油化学製品としてのプラスチック原料を製造しているエチレンプラントにおいて、従来のメタンを主成分とする燃料をアンモニアに切り替えることで、燃焼時のCO2排出をゼロに近づけることを目指すプロジェクトを進めています。実証期間は2021年度から2030年度までの10年間を予定しており、最終年度にはアンモニア専焼商業炉での実証を完了させ、社会実装を目指します。
また、アンモニアとともに「次世代のクリーン燃料」として注目されているメタノールをCO2から製造する自社技術である「g-Methanol(R)」の社会実装にも取り組んでいます。さまざまなCO2排出源から回収したCO2と、再生可能エネルギー由来の水素を合成して作る、環境循環型のメタノールとして注目されています。
PDCAではなく「DDDD」。失敗を恐れず、挑戦を重ねる
- ―新規事業を推進するにあたって、TOYOの強みはどのような点と言えますか。
- 優れた技術であっても「どのように社会で活用するか」を深く考える必要があり、そのための動力や熱源、システム全体を用意することが求められます。さまざまな技術を組み合わせて、システムをデザインし、実際に完成させる過程では、まさにTOYOがEPC事業で発揮してきたエンジニアリング技術が大いに役立ちます。
プロセスエンジニアリングや電気工学、機械工学、建設・土木、解析技術など、エンジニアリングにおいて重要な要素技術のプロフェッショナルが結集しているからこそ、新たな技術開発だけでなく、社会実装までできる。発掘した技術を事業化し、社会へと広げる一連のプロセスを一貫して担える点は、TOYOの最大の強みだと考えています。 - ―クリーン燃料の社会実装などを通して、TOYOが目指している姿を教えてください。
- カーボンニュートラルの実現に向け、世界中で「既存の産業設備を更新していく動き」が広がっています。私たちはこうしたニーズに応えることで、より良い社会づくりに貢献し、エンジニアリング会社としての存在意義を示したいと考えています。エネルギー転換の大きな時代に、「新しい技術を発掘・開発し、社会実装する」プロジェクトに携われることは、私たち社員にとって大きなやりがいです。
- ―そうしたビジョンの実現に向けて、どのような方を仲間に迎えたいですか。
- 次世代技術開拓部は既存EPC事業の「PDCA(Plan、Do、Check、Action)」とは異なり、仮説を立てながら次々と挑戦し、走りながら考え続ける、いわば「DDDD(Do、Do、Do、Do)」の姿勢を大事にしています。失敗を恐れずチャレンジするスピリットを歓迎し、組織全体で応援するカルチャーがあるので、行動力ある方にぜひ参加していただきたいです。
世界的なプラスチック廃棄物の問題を解決する「廃プラ油化」技術
エンジニアリング・技術統括本部 次世代技術開拓部
プログラムリーダー /岡島 聡
SATOSHI
OKAJIMA

- ―岡島さんは新規事業のなかでも、どのようなプロジェクトに携わっているのでしょうか。
- タイのSCGケミカルズ(SCGC)という化学会社と共に、混合廃プラスチック油化(廃プラ油化)技術の共同開発を進めています。このプロジェクトは、廃プラスチックをナフサにリサイクルし、そのナフサを石油化学プラントで原料として活用することで新品同様のプラスチックを作る、循環型プラスチック製造を実現しようというものです。
廃棄物を再びプラスチック原料にリサイクルすることで、従来の焼却処理に比べてCO2の排出量を減らすことも可能です。現在は実証プラントでデモンストレーションを進めていますが、今後は商業規模のプラントの設計や建設を目指しています。 - ―画期的なプロジェクトだと思いますが、立ち上げに至った背景を教えてください。
- 私自身、2019年に次世代技術開拓部に異動してきたときから、廃プラスチック問題に関心を抱いていました。エンジニアリング会社としてプラスチックを製造する工場の設計や建設を手掛けてきたTOYOだからこそ、廃プラスチックリサイクルに関する取り組みを行う使命があるのではないかと思ったからです。
こうした背景から技術調査を進め、ケミカルリサイクルに可能性を感じていたときに、もともと当社のお客様であったSCGCから今回の共同開発プロジェクトのお声掛けをいただきました。われわれはエンジニアリング会社として化学プラントの設計や建設が可能ですし、プロジェクトマネジメントにも長けているため、SCGCの持つプラスチック製造技術やサプライチェーンといった社会実装や商業化に必要な要素を補完できるベストなパートナリングを実現できたと考えています。 - ―どのようなチーム体制なのでしょうか。
- TOYOから参画しているメンバーは10~15名ほどです。私はプログラムリーダーという技術側の実務責任者として、共同開発パートナーとの打ち合わせに参加し、課題の整理や開発スケジュールの管理などを手掛けています。次世代技術開拓部所属のメンバーは私と知財を扱うスペシャリストを含めて2名ほどで、他にはプラント設計エンジニアやPM、解析等のエキスパート、営業担当など、他部署のメンバーと連携しながらプロジェクトを進めています。
多様なエキスパートの力を借りながら、技術の商業化を目指す
- ―仕事を通して、どんなところにやりがいを感じますか。
- 廃プラ油化は、プラスチック廃棄物の大規模処理が可能な点や、新しいプラスチックの原料を製造できるというメリットがあります。テーマが明確なプロジェクトだからこそ、「この新技術が普及すれば、廃プラスチックによる海洋汚染問題や循環型社会の構築のような社会課題の解決に貢献できる」というモチベーションが湧きます。
もともとTOYOには、社会課題を解決したいという思いのあるメンバーが多く、一体感を持ってプロジェクトを推進できますし、常に建設的で前向きな議論ができるため、日々刺激を受け、やりがいを感じながら取り組めています。 - ―TOYOで新規事業を手掛ける醍醐味はどんなところだと感じますか。
- まず、技術開発の初期段階では、仮説を考えたうえで図面やモデルを小さく作ってみるといった取り組み方や、「不確実性は高いけれど可能性も大きく新しいビジネスになりそう」と思うものに積極的にトライする姿勢が身に付くところです。
一方で、技術開発が成熟してきて商業化を目指す際には、通常のプラント建設のEPCのフローに近くなるため、TOYOの社内にいる設計や調達、建設のエキスパートの力を借りながら進めることが求められます。地に足をつけて構想から実装までをやり遂げられる点は、TOYOならではの魅力と言えるでしょう。
カーボンニュートラルや循環型社会への転換を迎える今、世界的にも最前線のプロジェクトに臨めるので、そういったことに関心を持っている方にはぜひおすすめしたいです。
営業としてサステナビリティに貢献する一大プロジェクトを成功に導く
営業統括本部 海外営業本部 営業第一部
シニアセールスマネジャー/南 智也
TOMOYA
MINAMI

- ―南さんも岡島さんと同じ廃プラ油化のプロジェクトに携わっているそうですね。
- はい。私は営業担当として、SCGCとの協業関係の構築や発展に向けた取りまとめ、技術を商用化するうえでの事業モデルの構築、そして潜在顧客への営業活動などを手掛けています。
- ―プロジェクトの現状や今後の展望を教えてください。
- 現在は実証プラントでデモンストレーションを行っていますが、期待性能が確認できれば、いよいよ商業プラントへの技術適用や対外販売に向けた営業活動が正式に進められる状況です。
そのため、技術開発と並行して、特許・実用新案の申請や事業モデル構築に関する議論を活発に行っています。新規技術の特許や実用新案の取得についてはIPマネジメント室、ビジネスモデルの構築やマーケティングは次世代技術開拓部と連携しながら推進しています。
共同開発を行っているこの廃プラ油化技術は、カーボンニュートラルの実現に向けて欠かせない技術になると考えています。エンジニアリング会社としての存在価値を存分に発揮しながら、「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」という当社のミッションを体現する本プロジェクトを成功させたいです。
プロジェクトの規模に比例して、達成感も計り知れないものに
- ―営業としてTOYOで働く魅力はどういったところだと感じますか。
- われわれプラントエンジニアリング業界の営業職は、扱うプロジェクトの規模が大きく、幅広い商務や技術知識が必要となることが特徴です。また、常にタイムリーな対応が求められ、社内外の調整や折衝が必要であるため、日々苦労は絶えません。
しかし、専門知識を持つチームメンバーと常に連携しながら、数カ月から数年単位のロングスパンで仕事を進めていくため、1人では決して成しえないような大きな成果を出すこともできます。大変な分、チーム一体となって一緒に苦労を乗り越え、担当プロジェクトを成功裡に完遂したときの喜びは、言葉では言い表せないほど大きなものになるのは間違いありません。 - ―TOYOで新規事業に携わることで、新たなキャリアを開拓できていますか。
- 私は入社以来、営業職として長くキャリアを積んできたこともあり、取引先やパートナーと良好な関係を構築するためのコミュニケーションや、プロジェクト推進に必要な社内外の調整や折衝に関しては、経験をフルに活用できています。
一方で、新規事業に携わるのは今回のプロジェクトが初めてであるため、事業モデルを構築するプロセスを経験するなかで、マーケティング思考やフレームワーク思考を新たに身に付けられていると感じます。
TOYOの新規事業開発はいずれも当社のコアであるEPC事業と密接に連携しており、将来的には新規事業をEPC事業につなげていくことも期待されている状況です。たとえ新規事業が未経験であっても、エンジニアリングに関する経験や知見があれば十分にスキルを生かせる環境なので、少しでも興味を持っていただいた方はぜひご応募ください。